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研究会報告

つつじの花を見ると五月だなぁと思います。
みなさんは、ゴールデンウィーク、いかがおすごしですか。

 

さて、『研究会報告』の第29号が完成しました。
鈴木研究室は、数学教育研究会に場所を移し丸5年、
毎週水曜日を定期研究会として活動しています。
『研究会報告』は、この一年間の成果をまとめた報告書です。
 
 

昨年度は、鄭さんの会話における「~けど」表現についての研究を中心に進めてきました。
その報告が「会話文に見られる終助詞化した「~けど」の配慮表現について」です。私たち
日本人には、母語話者だからこそ、なかなか気づきにくい、興味深い視点での研究報告です。
 
 

この研究会は、平日の午後という設定のため、勤務などで参加できないメンバーも
少なくありません。
そういったメンバーのために、毎夏、合宿をおこなっているのですが、
その報告が、長谷さんの「09日本語文法研究会夏期合宿報告」です。

 

巻頭エッセイは、数教研の会長によるものです。所属教室の指導者向けに、
毎月発行している「研究会だより」に掲載した記事を元にしています。
 
 

この数教研では、毎月、鈴木康之先生を講師に、指導者向け国語学習会を実施しています。
昨年度は、「再び、国語教材を考える」をテーマとしておこないました。

 

その前半では、文学作品や絵本教材を題材に、実際の語りの文について学びました。
「語りことばの教育」は、その後半で扱った内容です。鈴木先生の講義の部分と、
浜野が数教研の教材をまとめた部分の報告となっています。
 
 

鈴木研究室は、言語研究に興味ある人たちであれば、どなたでもご参加いただけます。
「言語研究の集団主義」をかかげ、いろいろな視点と意見で、研究を深めていこうという場です。
みなさんのご参加をお待ちしております。  

  

 (今回の写真は、文京区の根津神社です。以前、鈴木研究室にご参加くださっていた
  Uさんにご紹介いただいてから3度目の訪問です。
  このゴールデンウィークがちょうど見ごろのつつじです。みなさんもいかがですか。)

   

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花を植える人

 「木を植えた男」(あすなろ書房/J・ジオノ作)という絵本があります。
 
 フランスの山岳地帯に一人とどまり、何十年もの間黙々と木を植え続け、森を蘇らせた男。
その不屈の精神を感動的に綴る物語絵本。(あすなろ書房のホームページより)
 
 この春、岩崎京子さんからいただいた「花咲か」(石風社)は、江戸のまちに桜の木を植えていく
男の話でした。

   

 今回のこの写真は、服部農園あじさい屋敷のもの。

 ここの当主が、平成4年に、屋敷周辺にあじさいを植栽したのが始まりとかで、現在は、総面積
27,000㎡の屋敷に13,000㎡、150品種、10,000株以上のあじさいの花が、山の斜面
いっぱいに咲いています。

 もともとが観光地というわけでも、公的施設でもなく、個人の敷地内に植えたもの。
ですから、当然、そこへ行くための交通手段が整備されているわけではなく、マイカーか、一日に
数本のバス、もしくはタクシー。最寄駅から歩くと一時間くらいかかりますよ汗

 それでも、観光バスが何台もやってくる観光名所に。
服部のおじいさん、おそるべし。花を植える人。

 

 さて、きょうは、名古屋での国語学習会でした。今回は、この春、完成した漢字0K⑬教材の
発表のほかに、榎本先生による「あじさい色のおはなし会」を開催。語りの世界を楽しみました。
数教研の絵本教材「こすずめのぼうけん」と、ほかに昔話を2つ(&最後におまけでもう一つ)
語っていただきました。

 先生のお話は、ストーリーテリングといって、絵本をつかったり、声色を変えて演じたりするという
ものではなく、シンプルに、ことばだけを頼りに語っていくものです。感情もなるべく抑えて語るよう
にしているのだそうですが、そのことが、一層、ことばの本来もつ力を感じさせるものでした。

  

 とくに、「こすずめのぼうけん」は、数教研でも絵本教材になっていて、絵本で読むときと、耳で
聞くときの、その違いがはっきりとわかりました。絵本を見ているときは、その絵は止まったままの
映像として、目に映っているのですが、耳で聞くことばは、頭の中に、動く映像として、そのイメージ
を、豊かに、そして自由に映し出します。

 そして、そのことばは、わざわざ演じなくても、シンプルに語っていて、十分にイメージを喚起
させるものでした。ことばの力ってすごいなぁと改めて思いました。そして、それをつかって、
豊かにイメージできる人間って、すごいなぁと。

 ことばは、まずは、文字よりも先に音声があった。そのことを改めて思いました。

 

 わたしたちは、文字が読めるようになった子どもに、「もう字が読めるんだから、自分で
読みなさい。」とよく言いますが、ただ、そうやって文字を読むことよりも、まず、耳で聞くことの
方にこそ、ことばの力、物語の魅力を感じることができるのかもしれません。

  

 「伝え合う力を高める」ということが指導要領に入ってから、学校では、発表するとか、討論する
とか、自分から発信するという行為が重要視されているようですが、一方で、相手の発したことば
をじっくり聞くという行為はほとんどなされていないような気がします。

 本を読むとか、問題を解くとか、そういうことの前に、十分に語って聞かせてもらう。そういう行為
が、まず何よりも必要なのかもしれません。それこそが、ことばの力と、物語の魅力を知る体験に
なるのだと思います。
  
  

 これは、幼い子どもに限ったことではなく。
 わたしたち大人も、そうやって、耳で聞くことばというものから遠く離れてしまっているんだなぁと
思いました。語りの世界は、ことばの本来もっている力を再認識させてくれるもの。
ことばって、すごい。

   

 榎本先生、きょうは、すてきな体験をありがとうございました。先生は、そうやって、子どもたちに、
(そして今日はわたしたちに)ことばの種を蒔く人。きょうは、きれいなあじさいの花が咲きました。

 

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読んで、見て、聞いて!

 きのうは、世田谷のS教室に行ってきました。S教室には、絵本がたくさんあります。絵本が
並んでいる風景って、なんだか幸せになりますね。眺めてよし、読んでよし。
 
 でも、絵本って、聞くのもいいんですよ~。

ということを、きょう、F先生と話していて、改めて気づかされました。F先生のお気に入りの一冊を
見せてもらったとき、漢字がずいぶん使われていたので、「これって、子どもはなかなか読めない
んじゃないんですか。大人の絵本ってことですかね?」と聞いたら、「絵本って、読んであげるもの
だから。読んであげればいいんですよ」って。なるほどね~。たしかにそうですね~。
 「でも大人は読むばっかりで、文字しか見ていないから、絵を見てないんですよね~」とも。
たしかに。ああ、もったいない。絵本の楽しみの方の半分しか知らないってことなんですよね。

 大人は、一生懸命、文字を読んでしまうので、絵を見ることって、案外少ないかもしれませんね。
子どもは、お母さんに読んでもらって、そのことばを耳で聞きながら、絵を見ている。
でも、大人は、自分で読むときも、子どもに読んであげるときも、文字を追うばかり。大人になって、
絵本っていいなぁと思っても、自分で読むだけなので、耳で聞いて、目で楽しむという経験をした
ことないんじゃないでしょうか。子どもむけの読み聞かせ会なんかは盛んですが、大人のための
読み聞かせって、あまり聞いたことがありませんよね。

 だから、大人のための読み聞かせって、案外いいかもしれない、と思うのです。福岡のK先生も、
教室の保護者会などで、お母様方に絵本を読んでさしあげるそうです。「絵本っていいですね~」
と、みなさん、感動されるとか。 みなさんは、だれかに絵本を読んでもらうってことありますか? 
ぜひ、だれかに読んでもらってください。子どもさんでもいいし、ご主人でも…
いいんじゃないんですか。
 
 数教研の教材にも絵本がありますが、教室指導の中では、なかなか指導者が読んであげると
いうことができません。結局、子ども自身に読ませるばかりで、また、問題を解くという性格上、
文字を追うことに一生懸命になってしまっているんですよね。
 時間に余裕があるときには、5分・10分だけでも、絵本を読んであげるということがあっても
いいのかもしれませんね。「字が読めるんだから、自分で読みなさい」ということではなく、読んで
あげるということは、絵本の別の楽しみ方、むしろ、それが本当の楽しみ方なのかもしれません。

 絵本は、読んでよし、見てよし、聞いてよし。

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秋をさがそう

 ついこの間まで、天気予報のお姉さんが「あしたも真夏日太陽でしょう」なんていっていたのに、
先日は、北海道から初雪雪だより。夏から冬に一足飛びに飛び移り、秋はどこへ行ったやら。
日が沈むのも早くなり、夜月がずいぶんと長くなりました。「読書の秋」とはいいますが、わたしの
読書はもっぱら電車の中電車  家で読もうとすると、すぐにウトウトZzz すでに冬眠体制。

 
 さて、きょうは、数教研の国語教材の中から、秋に関する題名のお話を。

クラブ「太郎こおろぎ」
  がきだいしょうの太郎としのちゃんの話。太郎をただのいたずらっ子だと想像していると、
  最後の「今はりっぱな村長さんになっているということです。」とうまく結びつかないかも。
  太郎という人を、みんなはどんなふうにイメージするのかなぁ。
  「紙しょうじ」や「牛がモーと鳴きながら、車を引いて…」は、今の子どもにはイメージが難しい
  かもしれません。

クラブ「きくのせい」
  17世紀後半に書かれた中国の短編怪奇小説集である「聊斎志異(りょうさいしい)」の中の
  「菊の姉弟」が原典です。日本の昔話は、勧善懲悪的なお話が多いので、それに慣れている
  子どもたちには、話の展開がつかみにくいかもしれません。

クラブ「少年と子だぬき」
  女の子のはずが、最後になぜ「後ろに乗っているのは、かわいい子だぬきでした」となったのか、
  みんなはわかるかな? 「すすき」や「はぎの花」が出てきて、「季節はいつでしょう?」という
  質問。残念ながら、秋と答えられる子は、そう多くありません。今の子どもたちは、「すすき」
  だって、花屋さんでしか見かけないのかも。そういえば、まつぼっくりも、1個いくらかで
  花屋さんで売っていたっけ。わたしの子どものころなんて、そこら中に落っこちていたもの
  なのに。あんなものが売り物になるとは思ってもいなかった。当たり前の自然も、お金を
  出さないと手に入らなくなってきたのかもしれません。


 
 さて、この「少年と子だぬき」を読んだ生徒さんが、作文を書いてくれました。


 四葉子だぬきさん、男の子へ  Mちゃん(5年/群馬T教室)

  子だぬきさんへ、人間と話してみてどうでしたか。
  私は、子だぬきさんと男の子が出会ってからの事が一番印象に残っています。その中でも、
  男の子が「夕やけこやけの赤とんぼ」の歌を歌ったところが印象に残りました。私も男の子の
  歌声を聞きたくなりました。私のクラスでも、二人、歌のうまい子がいます。
  男の子のきずは、もう治りましたか。子だぬきさんが水で洗ってくれたから、私は、もう
  治ったと思います。
  子だぬきさん、男の子の自転車に乗ってどうでしたか。きっと楽しかったと思います。
  子だぬきさんのしっぽは、気持ちよさそうだったので、私はけがをしたら水であらってほしいと
  思います。


 四葉少年と子だぬきを読んで まる子ちゃん(5年/群馬T教室)

  たぬきが人間に化けられるわけがない。この物語の子だぬきは人間の世界にあこがれて
  いた。人間に化けられて、子だぬきはうれしかった。少年と子だぬきは友達になったから多分
  もう一回くらい遊んだと思う。
  このお話に出てくる子だぬきは、かわいいと思う。夕方になったらお家に帰らなくちゃと、
  お母さんとの約束を守る素直なところが好きだ。前に、お友達の家の犬をさわったら
  あったかくて、やわらかかった。だから子だぬきのしっぽもあったかいと思う。もしも、私が、子
  だぬきのしっぽで洗ってもらえるとしたら、うれしい。二人乗りはいけない。けれど、乗せても
  みたい。楽しそうだから。理由は話ができるから。私はくわの実を知っている。どどめのことだ。
  Rちゃんという6年生の家にくわの木があって、そこにどどめがある。どどめは黒い方が
  おいしい。


 このお話の中で、女の子(子だぬき)は、お母さんと食べた桑の実の話を男の子にしてあげます。
どんな話なのかは、具体的に書いてないのですが、たぶん、まる子ちゃんなら想像できそうですね。
 Mちゃんが話題にしてくれた「夕やけこやけの赤とんぼ」の歌にも、そのあと「山の畑の桑の実を」
という歌詞が続いて、桑の実が出てくるんですね。
 まる子ちゃんもMちゃんも、群馬県のお教室の生徒さん。群馬県は有数の繭の生産県で、桑の
栽培が盛んだったとか。子どもたちの身近にまだ桑の木が残っているのかもしれません。



 「少年と子だぬき」を読んで、子どもたちは、どれだけのイメージができるのでしょうか。実生活の
中に、少しでも同じような風景を見、経験したことがあれば、そこからイメージをふくらませることが
できるのでしょうが。Mちゃんや、まる子ちゃんのように、桑の実を見たり食べたりしたことのある子
どもは、ほとんどいないでしょうね。
 桑の実ほどのことでなくても、まる子ちゃんの「前に、お友達の家の犬をさわったらあったかくて、
やわらかかった。だから子だぬきのしっぽもあったかいと思う。」というような、実体験とむすび
つけたイメージが、少しでもできるといいのですが。

 読解には、文章を読むテクニックだけではなく、文章を読んだときに、そこから豊かにイメージ
できるだけの実体験が必要なのではないでしょうか。秋に関する本を読みながら、身近にある
小さな秋をさがしてみてはいかがでしょう。

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ロハスな生活

 数年くらい前からか、ロハスLOHASということばをよく耳にするようになりました。よく耳にするよう
にはなったとはいえ、なんとなくイメージしているだけで、私の認識は、都市消費生活の対極にある
ようなものなのかな、という程度のものです。エコロジーとか、スローライフとか、無農薬とか、
地球環境と人間の身体にやさしい、そんな生活スタイル、のようなこと、なのかな? 
 LOHASということばはLifestyles of Health and Sustainability の頭文字をとった略語だ
とか。Sustainabilityとは、持続可能性という意味だそうで、新語みたいです。辞書によると
  もともとは生物資源(特に森林や水産資源)の長期的に維持可能な利用条件を満たすことを
  いうが,広義には自然資源消費や環境汚染が適正に管理され,経済活動や福祉の水準が
  長期的に維持可能なことをいう
-そうです。
 
 こういった生活スタイルを目指す人の特集や雑誌も多く出ているようですが、そのひとつに
ロハスキッズ(木楽舎)という雑誌があります。キッズとあるから、子ども向けなのかなとも思うの
ですが、子ども自身ではなく、子育てをしている大人向けの、ロハスな育児スタイルともいうべき
もの、のようです。
 そのvolume5が先週発売になりましたが、その中に~「描く」から「書く」へ、楽しみながら~
という記事があって、その記事の指導にあったのが、数教研M教室のY先生です。先生の紹介欄
には、数教研の名前も出てきます。
 この記事では、漢字の古代文字に焦点をあて、それをさまざまな道具をつかって、文字を書く、
それはおそらく中国の古代人がしていたであろう、引っ掻く、描くという作業に近いのだと思います
が、その作業を子どもたちが楽しみながらしているようすが紹介されています。


 数教研の0K漢字教材では、象形文字から学習を始め、そのもとになった具体物を絵で示して
います。もし、子どもたちが、漢字も、ひらがなと同じように、その音だけをあらわすものだと誤解
してしまうと、たとえば「川いい」(かわいい)というふうに、その音だけを当てて書いてしまったり
します。漢字というものを、意味(名詞)をあらわすものだというふうに理解していないからです。
それを示すためには、ある一つのまとまったことがら(具体物をしめす名詞)である象形文字から
教えるのが適当です。数教研の0K①には、こういった理由から、山・川・田・木・日・月などが
集められています。

 ところが、某国語教科書では、「大きい」が漢字学習の最初に出てきます。送りがなの必要な
漢字を最初にもってきて、その上に「おおきい」などとルビがふってあると、子どもたちは「大」=オオ
という発音を示す文字だと誤解してしまいます。子どもたちは、習ったばかりの漢字を使いたくて、
「大さま(王さま)」「大かみ(おおかみ)」という文字を書いてしまうかもしれません。
 数教研では、象形文字をつかって、まず漢字には音だけでなく意味があるということを理解させ
ます。その上で、おくりがなの必要のある動詞や形容詞をとりあげ、その語形変化と合わせて、
その漢字を学習していきます。

 ところで、なぜ子育ての本に、漢字の話が出てくるのでしょうか。ここでは、「漢字のお勉強」と
いう難しいものではなく、文字を書く作業をアートとして捉えているんですね。子どもとアートという
観点で、自然とむきあって、自然の中で遊ぶ。そんなことがテーマなのかもしれません。
今度、Y先生に聞いてみましょう。

 数教研の漢字学習の導入も、覚えるだけの漢字練習ではなく、子どもたちにとって、文字との
出会いが楽しく、興味深いものになるようにと願って作りました。教材の中にある絵に興味をもって
どんな絵から今の漢字ができあがったのかというところにも目を向けてほしいなあと思います。
わが教室の生徒さんの中に、0K漢字で新しい漢字を学習するごとに、その絵を書き写すという
作業を必ずやっていた女の子がいました。漢字を習い始めた子どもたちは、漢字をつかうことが
楽しくてしょうがないといったようすを示します。みんな、最初は漢字が大好きで、興味津々な
はずです。ところが、学校の漢字練習とテストの繰り返しで、あっという間に、漢字学習は面倒で
嫌いな勉強になってしまいます。
 数教研の漢字学習が、テストのためのただの漢字練習で終わってしまうのではなく、文字との
わくわくする出会いになればなぁと願っています。

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